食品ロス削減へ 北九州市が食べ残し持ち帰りBOX配布

 食品ロス削減に向け、北九州市が飲食店で食べきれなかった料理の持ち帰り用として、紙製容器「食べきりBOX」を市内39店で無料配布している。新型コロナ禍もあり、飲食店などから出るごみの量は減っているものの、市循環社会推進課は「今年は忘年会を復活させるグループも多いと思う。食品ロスの量は元に戻さないよう、食べ残しを減らそう」と利用を呼びかけている。

 同課によると、飲食店を含む市内の事業系ごみのうち、食べられるのに捨てられる「食品ロス」の発生量は2020年度調査で推計5800トン。16年度調査(2万8000トン)の5分の1近くに減っており、市は新型コロナ下での飲食店の時短営業なども影響したとみている。


食べきりBOXを手にする向井さん


 食べきりBOXは縦12センチ、横18センチ、高さ5センチ。市は15年度から飲食店や家庭での食べ残しを減らす運動を展開しており、食べきりBOXはその一環として昨年度、市内31店で初めて配布した。


市内39店で2000箱を配布

 店側に好評だったことから今年度も11月~来年1月を対象期間として飲食店に協力を呼びかけ、小倉北区の小倉井筒屋レストラン街11店が新たに参加。和洋食や焼き肉、焼き鳥の店など市内39店で約2000箱を配布することになった。

 食べきりBOXの内部は油が染み出さないよう加工されており、加熱調理済みの料理のみを持ち帰ってもらう。店側は、生鮮品は持ち帰らせず、早めに食べることなど食中毒の注意点を説明する。利用者は食べきれる量だけ自己責任で持ち帰る仕組みだ。

 昨年度から参加する小倉北区の「お好み焼き いしん」では今年度60箱を配る予定で、店主の向井博幸さんは「残った分を持ち帰り、『また食べられるからお得』と感じてくれる人も多い。いい取り組みだと思う」と語る。

 市は宴会での食べ残しを減らそうと、最初の30分と最後の10分は自席に座って料理を食べきる「30・10運動」にも力を入れている。同課は「年末年始は宴会が増える。コロナ後の食品ロスが増えないよう、啓発していきたい」としている。


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