福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」で5月、カマイルカの赤ちゃんが誕生した。同館でイルカの赤ちゃんが生まれるのは3年ぶり。母親は20年前に能登半島の水族館から来たイルカで、マリンワールドの飼育担当者は「元気に育ってほしい」と成長を見守っている。
「元気に育って」
出産したのは、日本沿岸に生息するカマイルカの「サンゴ」(メス、推定24歳)。2004年にのとじま水族館(石川県七尾市)からやってきた。同館などによると、まだ子どもの頃に能登半島周辺の定置網にかかったのを保護され、マリンワールドに連れてこられたとみられる。同館は能登半島地震の影響で、現在も臨時休館が続いているという。
サンゴは2度目の出産で、2年前の初産は死産だった。水族館で飼育するカマイルカは、他種に比べて子どもの生存率が低いという。昨夏頃にサンゴの再妊娠が分かり、マリンワールドでは、出産後の生存率を上げるため、子イルカの模型を作って授乳トレーニングをするなど準備を進めてきた。
名前を公募へ
5月3日昼、サンゴに出産の兆候が現れ、同日午後6時半頃には尾びれが見え始めたという。約3時間後の午後9時半頃に無事に出産した。赤ちゃんの性別は不明で、体長は約95センチ、体重9~10キロほど。出産翌日に母乳を飲む姿もみられ、母子ともに寄り添って泳いでいる姿が見られるという。
マリンワールドの海洋動物課・飼育担当の木下克利さんは「授乳も順調で、泳ぐ姿にスタッフ全員感動している。今後も元気に育つように全員で力を尽くしたい」と話す。順調に成長した後は、名前を公募して一般に公開する予定だ。