福岡県小郡市に拠点を置くケーブルテレビ(CATV)「ケービレッジ」が、小郡署と共同で制作し、地域情報番組の中で毎月放送しているコーナー「まちの安全を守る小郡警察署」の総集編が、「第20回ケーブルテレビ九州番組コンクール」で特別賞を受賞した。コーナーは同署員が出演して防犯や交通安全などを呼びかける内容で、2017年に同市で発生した警察官による妻子殺害事件が制作のきっかけになった。
地域の安全安心に
コーナーは、同局の地域情報番組「よかまち情報局」の中で、毎月第4金曜日から7日間放送されている。ニセ電話詐欺や交通事故、飲酒運転、性犯罪などテーマは多岐にわたり、犯行の手口や被害の防止策などを紹介する。
より親しみやすい内容にしようと、23年5月からは、署員ふんするキャラクター「安全・安心クボヤマン」が出演。博多の郷土芸能「博多にわか」の面を付けた「謎の警察官」という設定で、視聴者の人気を集めている。
毎回、署員が内容や番組構成を考え、出演するのが特徴で、18年3月の放送開始からこれまでに約40本を制作した。同局の鶴田早紀さん(36)が撮影、編集し、アナウンサーとしてコーナーの進行役を務めてきた。
同市では17年6月、県警本部に勤務していた警察官が自宅で妻と子ども2人を殺害する事件が発生。鶴田さんは当時、住民に話を聞く中で、事件が連日報道されて市民の間に不安が広がっていると感じたり、警察への不信感を訴える声を聞いたりしたという。
「警察官を身近に感じてもらうことで、市民の不安や不信を払拭(ふっしょく)できないか」と考え、当時の署長に地域の安全安心につながる番組の制作を持ちかけ快諾を得た。
特別賞に選ばれた
総集編は、コーナーの放送開始当時、同署の総務課長だった芳野祐次副署長へのインタビューや制作を始めたきっかけの紹介、これまでに放送したコーナーの撮影風景などを約20分のドキュメンタリー風の番組にまとめ、3月下旬に放送した。
コンクールは日本ケーブルテレビ連盟九州支部が主催。「企画・バラエティ・情報番組部門」に出品し、23作品の中から特別賞に選ばれた。
鶴田さんは「受賞できてうれしい。安心安全なまちづくりの役に立てるような番組作りを続けていきたい」と意気込む。芳野副署長は「これからも協力して、地域の人たちが安全に暮らせるよう情報を発信していきたい」と話している。