住民が運転手に!交通空白解消へ官民で「北九州モデル」

 地域公共交通の廃止による将来的な交通空白地域の発生を予防する「北九州モデル」が5月7日、発表された。北九州市と北九州タクシー協会、第一交通産業、西鉄バス北九州が連携。深刻化する運転手不足の解消に市が関わるなどし、官民が協力して持続可能な公共交通の仕組みを作る考えだ。

バス路線廃止の波


公共交通の維持に向けた官民連携の「北九州モデル」を発表した武内市長(中央)ら

 北九州市によると、市内の公共交通機関の利用者は1965年は98万人だったが、自家用車の普及や人口減少などで2023年には31万人まで減少。01~23年に市内で79のバス路線、計205キロが廃止となった。

 バス路線が廃止された地域では、市の支援を受けてタクシー事業者が乗り合いタクシー「おでかけ交通」を運行してきた。ただ、運転手不足により事業者が決まらないケースもあったといい、地域の足の存続が懸念されている。

乗り合いタクシー維持へ 住民に呼びかけ

 新たに打ち出す北九州モデルでは、市が自治会などの地域コミュニティーネットワークに運転手募集を呼びかけ、乗り合いタクシーの維持に必要な要員の確保を目指す。6月頃から自治会で説明会を始める予定で、応募者は運行事業者の採用試験を経て雇用契約を結ぶ。

 自治体が地域住民から運転手を募集する取り組みは九州では初めてで、4月下旬に国土交通省の「『交通空白』解消緊急対策事業」に採択された。

 7日に記者会見を開いた武内和久市長は「地域の足、地域の暮らしを、地域の皆さんで守っていく。その考えに共鳴していただける方は、ぜひ手を挙げていただきたい」と呼びかけた。


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