明太子だけじゃない!「やまや総本店」から“九州の食”を発信
記事 INDEX
- もつ鍋、天ぷら…ではなく
- カジュアル店舗と日本料理
- こんな所も?めんたいこ愛
明太子メーカー「やまやコミュニケーションズ」(福岡市東区)は3月27日、カジュアルレストランと日本料理店を併設した新店舗「やまや総本店」を、福岡市中央区白金にオープンしました。これまで展開してきた飲食店とは一線を画し、「九州の食文化の掘り起こしと発信」を担う拠点にする考えです。
もつ鍋、天ぷら…ではなく
やまや総本店は、ビルやマンションが立ち並ぶ一角に立地。約700平方メートルの敷地に、落ち着いた外観の平屋(約310平方メートル)があります。
「九州の食文化を改めて掘り起こし、新しい価値を吹き込みながら、国内外に情報発信する拠点にしたい」。同社の山本正秀社長は、オープン前の3月23日に現地で開いた発表会で、思いを語りました。
総本店はカジュアルレストラン「白金小径(しろがねこみち)」と、日本料理「膳」の2店で構成。「Made in KYUSHU」をコンセプトに、いずれも九州産の食材を中心に使ったメニューを提供します。
1974年創業の同社は、明太子の製造販売のほか、飲食店の展開も積極的に進めてきました。店舗網は「博多もつ鍋 やまや」や「博多天ぷら やまみ」など国内で50店以上、海外を含めると60店を超え、2022年8月期の連結売上高は168億円に上ります。
新設したやまや総本店は、もつ鍋や天ぷらといった既存の専門店とは異なり、「九州」に焦点を当てます。創業50年の節目を来年迎えるのを前に「未来へ向けて、していきたいことを具現化する旗艦店」と位置づけ、多店舗展開の予定はありません。
カジュアル店舗と日本料理
白金小径は、辛子明太子を使った料理や季節の果物を用いたスイーツなどを提供。やまやの社員が福岡県朝倉市で生産しているイチゴ「あまおう」を使ったデザートもラインアップしています。
物販コーナーでは、創業者と山本社長しかレシピを知らないという「山本秀波の明太子」(300グラム、1万800円)、売り場に並ぶまで一度も冷凍しない「できたてめんたい」といった希少な明太子を用意。乳酸菌を使った調味液に野菜を漬け込んだオリジナル商品「ユサンチェ」(864円)なども並びます。
膳は完全予約制。コース料理(7品で7700円など)を用意します。
備品には、博多曲物(まげもの)のおしぼり受けや久留米絣(かすり)ののれんといった地元の伝統工芸品を採用。来店客との会話の中でこれらの品々を紹介し、魅力を伝えていく考えです。
こんな所も?めんたいこ愛
なお、やまや総本店が立地するのは、築60~70年ほどの民家があった場所。膳の建屋は、元々の民家とほぼ同じ大きさで、庭の梅や南天はそのまま残し、門扉も活用するなど、以前の持ち主の意向もふまえながら、歴史を受け継ぐ工夫をしています。
明太子メーカーならではの“仕掛け”も随所にあり、楽しませてくれます。
中庭は、スーパー楕円(だえん)と言われる形状で、「明太子の断面のよう」(建築家の平瀬有人さん、祐子さん)になっています。
白金小径にある大テーブルは、明太子の形です。
膳で使う土鍋は、明太子のような赤色で、取っ手の部分が明太子の形のものも。特殊な技術で加工した床面は、赤みがかった石およそ1万2000個を左官職人が「田植え作業のように並べていった」(同)といいます。
メニューはもちろん、建物の意匠なども楽しめそうな新店舗。オープンに際し、山本社長は「これからが本番。(新たな取り組みが)どう実現していくか注目してほしい」と話しています。
◆店舗情報
店舗名 | やまや総本店 | |
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所在地 | 福岡市中央区白金1-5-5 | |
【白金小径】 | 【膳】 | |
営業時間 | ※火曜定休 11:00~18:00(飲食はラストオーダー17:30) |
※完全予約制、日・月曜定休
18:00~23:00(ラストオーダー22:00) |
席数 | 33席 | 30席・半個室1 |
電話 | 092-406-8087 | 092-406-8820 |
公式サイト | やまや総本店 |