福岡市・天神西通りに高級時計店が続々集まっているワケは…
記事 INDEX
- 若者が集まるエリア
- 海外ブランドが集積
- コロナ影響ほかにも
福岡市の天神西通りや周辺に、高級時計店が相次ぎオープンしています。2月下旬にはスイスの「チューダー」が九州初の路面店を出し、さらに集積が進みました。
若者が集まるエリア
西通りに「チューダー ブティック 福岡」がオープンした2月22日、店の前には朝から開店を待つ人たちの列がありました。
近くの大丸福岡天神店にもチューダーの売り場はありますが、今回、「ブランドの世界観をつくりたい」(関係者)と路面店を開設することに。ビル1階に入居した店舗は、ブランドカラーである黒と赤の外観が目を引きます。
チューダーは、ロレックスの創業者が始めた“兄弟”ブランド。ロレックスより価格を抑えながら、品質にこだわった商品づくりを続けているといい、店内には20万円台後半から100万円ほどの腕時計およそ100点をそろえます。
流通関係者は「個性を出すファッションアイテムとして、腕時計には若者の根強い需要がある」と話します。福岡で、感度の高い若者が集まる西通り――。それが時計店の出店を後押ししているとみられます。
海外ブランドが集積
チューダーの新店から近い西通り沿いには2021年10月、スイスの高級腕時計ブランド「タグ・ホイヤー」の九州唯一の直営店「エスパス タグ・ホイヤー 福岡」が、近隣から移転オープン。「西通りは特に人通りが多く、よりよい場所に移った」といい、移転後は新規の顧客も増えたそうです。
同じくスイスの高級腕時計「ゼニス」も同年12月、国内3店目となる路面店「ゼニス ブティック福岡」を開設。店内には高級感ある個室を備え、数か月待ちとなるような人気モデルの商品を優先的に取り扱うなどしています。
高級ブランドをそろえる岩田屋本店からの買い物客の動線をふまえ、西通りそばに出店したそうです。ゼニスの広報担当者は「コロナ禍で旅行や宴会を控え、支出を時計などの高級品に向ける動きもあり、男性を中心に時計ブームが起きている」と話します。
コロナ影響ほかにも
天神地区に特化した不動産会社「リーシングサポート」の津志田靖子さんは、「コロナ禍で来店客が減った食関連のテナントが退店するなどし、代わって近年好調な時計ブランドが出店する状況が生じたようです」と話します。
ほかにも、「マスクで治療中の顔を隠しやすい」といった理由から、天神エリアでは美容クリニックが次々に開業するなど、コロナ禍による様々な動きがあったといいます。
最近はインバウンド回復への期待感から、外国人旅行者の旺盛な買い物需要を取り込もうと「ドラッグストアなどの出店意欲も高まっている」とのこと。時代を映す鏡のように変化していく天神地区の今後の姿にも注目です。