「唐揚げ冷えてます」で人気の福岡土産 ロングセラーの秘密を探ってきた

 「唐揚げ冷えてます」――。福岡で暮らし始めて半年足らずの記者は、福岡市内のスーパーマーケットで目にしたステッカーに足を止めてしまいました。調べると、地元で長く愛されている唐揚げ「努努鶏(ゆめゆめどり)」をPRするもののようです。福岡市南区にある販売会社を訪ね、ロングセラーの秘密を探りました。


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自然解凍して「おいしい!」

 この商品を販売している会社の代表取締役・浜部義隆さんに聞きました。


取材に答えてくれた浜部さん


 記者「『唐揚げ冷えてます』のステッカーを見たのですが…」
 浜部さん「うちの商品『努努鶏』のPRです」
 記者「どういう商品なのでしょう?」
 浜部さん「冷凍して保存し、自然解凍して冷えた状態で食べる唐揚げです。お土産や贈答品として人気なんですよ。注文販売でも、今は2週間待ちの状態です」


JR博多駅構内にある直営店には客足が絶えない

 まだピンとこないのですが、JR博多駅構内にある直営店はかなりのにぎわいで、テレビや雑誌で紹介されたこともあるそう。土産に買い求める外国人も多いとのことです。


一番人気という「手羽中・骨付」

 一番の売れ筋は「手羽中・骨付」で、1箱240グラム(約15本入り)で1080円(税込み)です。冷凍庫から出し、15分ほど自然解凍してから食べるのがオススメなのだそうです。


自然解凍で食べ頃になった唐揚げ

 試食させてもらいました。
 冷凍していたのに、サクサクとした食感があります。タレは甘辛く、ビールのおつまみに合うと思いました。


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特殊な製法で40年

 工場も見せてくれました。40年近く販売している商品で、揚げ時間などに改良を加えながらも、変わらぬ製法を守っているそうです。

 まず、鶏肉と衣をからめ、190度の油で20分揚げます。普通なら黒焦げになってしまいますが、特殊な配合による衣のおかげで、こんがりときつね色に。じっくり揚げることで鶏肉の水分がとび、冷凍してもサクサクした食感が保たれるのだとか。


鶏肉の水分がとんでサクサクした食感が残る

 唐揚げに絡めるタレにも秘密がありました。水あめを多く入れて、凍り付かないようにしています。


タレとごまを和える

 味をととのえ、マイナス25度で30分間冷凍すると完成です。


マイナス16.1度でもタレが凍り付くことはない


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逆転の発想で商品化

 開発に心血を注いだのは、浜部さんの父・梅男さん。焼き鳥の持ち帰り販売からスタートし、百貨店のテナントとして唐揚げなどの総菜も扱うようになると、他のテナントとの競合から「よそにはない商品が必要」との思いを強くしたそう。そこで、「温かい」「食卓に並ぶ」といった唐揚げのイメージの逆をいき、土産品の需要に着目した冷たい唐揚げが誕生しました。以来、口コミで評判は広がり、ロングセラー商品になりました。


直営店での売れ行きもよく、頻繁に商品の補充が必要

 「唐揚げ冷えてます」「決して温めないで下さい!」といった刺さるフレーズも、右肩上がりを続ける秘密の一つです。会社に、営業担当の社員はいません。浜部さんは「すべては説明せず、それでいて『何これ?』と思わせる。そういう仕掛けづくりに力を入れています」といいます。


スーパーの入り口などに貼られたステッカー


 ステッカーを見て取材にやって来た記者も、浜部さんの作戦にはまってしまったわけです。
 独自の製法だけでなく、消費者の関心を引く工夫の積み重ねが、ロングセラーの秘訣のようです。


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