戦地からの絵手紙 博多の提灯職人が妻子に寄せた思い【前編】
現在の福岡市博多区、那珂川にかかる西中島橋のたもとに戦前、老舗の提灯店がありました。主人の名は、伊藤半次さん。召集された半次さんの部隊は、満州(現・中国東北部)から沖縄に転戦し、その地で玉砕します。絵が得意だった半次さんは戦地から博多の妻子に宛て、絵手紙など400通もの便りを送りました。それを引き継いだ孫の博文さんは絵手紙の展示や講演を通じ、家族の元へ帰りたいと願いながら戦死した祖父の無念を今に伝えています。太平洋戦争が終わり、この夏で75年。博文さんが選んだ数葉の絵手紙から、1人の兵士が託した思いをひもときます。