特別展「法然と極楽浄土」が開幕 九州国立博物館開館20周年

特別展をPRする九州国立博物館の富田館長(右端)や浄土宗公式キャラクター「なむちゃん」(左端)ら
記事 INDEX
- 国宝を含む「来迎図」の数々
- 数少ない法然上人の坐像も
- 関連イベントも楽しめる!
浄土宗850年の歴史をたどる特別展「法然と極楽浄土」が10月7日、福岡県太宰府市の九州国立博物館で開幕します。九博の開館20周年を記念する事業で、会期は11月30日まで。国宝6件を含む計113件(会期中の入れ替えあり)が展示されます。
国宝を含む「来迎図」の数々
浄土宗は法然(1133~1212年)が1175年に開宗。内乱や災害、疫病で世の中が動揺する中、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏をとなえれば、誰もが等しく極楽浄土に往生できると説きました。その後、弟子たちによる諸派の創設と教義の確立、徳川将軍家の帰依によって大きく発展しました。
東京、京都、そして九州へと巡って来た特別展。見どころの一つは、人が亡くなるときに極楽浄土から迎えに来る阿弥陀如来(あみだにょらい)の姿を描いた来迎図(らいごうず)の数々です。中でも、国宝「阿弥陀二十五菩薩(ぼさつ)来迎図(早来迎)」は、文化庁、宮内庁、読売新聞社が取り組む「紡ぐプロジェクト」の助成で85年ぶりに修理され、九州では初公開となります。11月3日までの前期展示で見ることができます。
数少ない法然上人の坐像も
重要文化財「法然上人坐像(ざぞう)」は、数少ない法然の彫像。奈良県の當麻寺奥院で年に1回だけご開帳されます。彫像の頭部は丸く、壮年期の姿を表しています。
ほかにも、當麻寺が所蔵する国宝「綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら)」や、善光寺(山形県)の「阿弥陀如来立像」なども公開されます。11月11~30日の期間限定で披露される綴織當麻曼荼羅は、ハスの糸で織られたという"奇跡"の秘仏。鎌倉時代に作られた阿弥陀如来立像は、優美な立ち姿で後ろを振り返るさまから「見返り阿弥陀」とも呼ばれます。
生きとし生けるものを救うために考え続ける様子を表した五劫院(奈良県)の「五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀如来像」は、アフロヘアのような姿を間近で鑑賞できます。
法然寺(香川県)の仏涅槃群像(ぶつねはんぐんぞう)は、釈迦涅槃像と群像の一部を展示し、来館者が撮影できるスポットになっています。九州ゆかりの品もあります。法然の弟子として九州で浄土宗を広めた高僧の木像「聖光(しょうこう)上人坐像」(重要文化財)は、福岡県久留米市の善導寺から出展されます。
関連イベントも楽しめる!
関連イベントも楽しめます。仏像マニアとして知られるタレント・はなさんのトークショー「はなさんと学芸員がナビゲートする極楽浄土ツアー」は、10月12日13時30分から博物館1階ミュージアムホールで開かれます。限定270席で、特別展の観覧券とグッズ(トートバッグとクリアファイル)がセットになった入場券(3500円)が必要です。
会場には、特別展にちなんだグッズ販売コーナーや、「五劫思惟阿弥陀如来像」の顔はめパネルもあります。
九州国立博物館の富田淳館長は「現在の我々に語りかけてくれる希望と救いの展覧会です。歴史、厚み、重みのある作品が並んでおり、会場に来てもらえれば、満足してもらえる自信があります」と来館を呼びかけています。
特別展「法然と極楽浄土」
会期:2025年10月7日(火)~11月30日(日) ※月曜休館(10月13日、11月3日、11月24日は開館し、各翌日が休館)
時間:9時30分~17時(金・土曜は20時まで) ※入館は閉館30分前まで
会場:九州国立博物館 (福岡県太宰府市石坂4-7-2)
料金:一般2000円、高校・大学生1200円、中学生以下は無料