海峡の街へダイブ!門司港の対岸・火の山が楽しいエリアに進化中
関門海峡に向かって飛び出すような浮遊感が味わえる「空のブランコ」
記事 INDEX
- 遊びと歴史が同居
- ブランコで空へ!
- 新しい施設が続々
関門橋や北九州市の門司港レトロ地区を一望できる、山口県下関市の火の山公園。「光の山プロジェクト」と銘打ち、本格的な再編整備が進むこのエリアに「空のブランコ」や「海のすべり台」など、斜面や起伏を生かした個性的な遊具が登場した。
遊びと歴史が同居
一帯は、明治時代に関門海峡を敵艦隊から防衛するため、旧日本陸軍が築造した砲台などの戦争遺構が残る地域でもある。「戦跡がそろって残る公園は全国でも珍しい」とされる火の山は、"遊び"と"歴史"が同居する場所として注目をされている。
火の山公園は、関門海峡や対岸の北九州市、さらに響灘、周防灘まで見渡せる下関市随一の観光スポットだ。1958年に「火の山ロープウェイ」が開業し、「回転展望レストラン」などが整備されると、最盛期には年間約100万人が訪れた。しかし、コロナ禍前には約20万人の水準まで落ち込んでいた。
下関市は往時のにぎわいを取り戻そうと、半世紀ぶりとなる大規模整備に着手。砲台跡などの戦争遺構の発掘調査を経て、第1弾として約5000平方メートルの敷地に、三つの展望スポットと13種類のアスレチック施設や遊具を整備した。
ブランコで空へ!
ひときわ存在感を放つのが、関門海峡を越えて空へ飛び出すような感覚が味わえる「空のブランコ」だ。視界を遮るものはなく、目の前に広がるのは空と海峡。身体ごと風景に溶け込むような"特等席"だ。
「平日の休みで、こんなにいい天気。気分転換になる」と満喫していたのは、小学2年生の娘と訪れた下関市の岸裕子さん(42)。休日には20分近く並ぶほどの人気だそうで、「今日は娘も待つことなく、気兼ねなく乗れて楽しそう」と目を細めた。
その女児の一番のお気に入りは、そばにある「海のすべり台」。長さ約30メートル、高低差9メートルを一気に滑り降り、海に向かって疾走するような爽快感を味わえる。
視線の先ではちょうど、大型船が海峡を通過していた。「すごく速く滑れるから楽しい」と息を弾ませながら、またすぐに階段を駆け上がっていった。
このほかにも、海を背に山へ駆け上がる「マウンテンクライム」、ネットやハンモックに身を委ねる「雲のテラス」、「バランス小道」と名付けられた平均台の遊具など、このロケーションならではの体験型施設や展望台が並ぶ。
新しい施設が続々
うららかな日差しが注ぐ園内で、どこか緊張感をまとっているのが、遊具の近くに残る戦争遺構だ。かつて「下関要塞(ようさい)」が置かれた火の山には、砲弾を収めていた砲側庫や兵舎、砲座の跡が点在する。今は海峡の景観を楽しめるこの場所も、終戦までは重要な軍事拠点として一般の立ち入りが制限されていた。
砲側庫跡のそばには、「ネット要塞」と名付けられた、赤いピラミッド形の遊具が設置されている。市の担当者は「遊びながら歴史を感じてもらえる、唯一無二の施設を目指した」と話す。
2025年には、公園整備に伴う発掘調査で、第一砲台や第三砲台の跡地から新たに砲側庫や砲座、砲床が確認され、市は新たな説明板を設置した。
今後も整備は続く。4月には展望デッキ「ヒノヤマリング」がお披露目され、夏には山麓エリアにキャンプ場が完成する予定だ。運行を終了したロープウェーに代わって、スキー場のリフト方式で次々と乗客を運ぶ「パルスゴンドラ」の導入も2027年度以降に計画されている。
かつては狼煙(のろし)を上げる場所だったとされ、火の山の名もそこに由来するという。山の姿は約20キロ離れた北九州市八幡東区の皿倉山頂からもはっきりと確認できた。戦跡と共存する火の山公園が、どのようなスポットになっていくのか楽しみだ。



























