福岡県大牟田市出身の俳優、佐藤正和さんが出演する演劇「父と暮せば」が11月29日、同市の大牟田文化会館で上演される。演劇を身近に感じてもらおうと、通常の半額ほどの料金設定にしており、佐藤さんは「文化に地域差があってはならないとの思いを込め、地元の人たちの前で演じたい」と来場を呼びかけている。
大牟田文化会館で11月29日
「父と暮せば」は、作家・井上ひさしさんの戯曲。原爆投下後の広島を舞台に、原爆で父親を亡くし、生き残った負い目を抱える娘と、幽霊となって現れた父親との交流を描く。今回の上演では、父親を佐藤さん、娘を広島県出身の女優・中薗菜々子さんが演じる。
佐藤さんの祖母と母親は、大牟田空襲で降り注ぐ焼夷(しょうい)弾から逃げ回った経験があり、長崎への原爆投下時には有明海の対岸に立ち上るキノコ雲を見たという。
今回の上演について佐藤さんは、「悲しい出来事を忘れてはならない。ダイナミックな演劇のエネルギーと強烈に平和を求めるメッセージを若い世代に感じてもらいたい」と話す。
中学校で貸し切り公演も
昨年9月に大牟田文化会館で上演された際、鑑賞した地元の企業家から公益財団法人・大牟田市文化振興財団に多額の寄付があり、それを活用して11月29、30日に宅峰、歴木両中学校で貸し切り公演も行う。
同館での公演は午後6時半開演。料金は一般2500円、高校生以下500円。問い合わせは同館(0944-55-3131)へ。