災害時のトイレ不足解消のため、福岡県八女市は車で牽引(けんいん)できる災害用トイレトレーラーを導入した。市によると、県内の自治体では篠栗町と須恵町が導入しており、筑後地域では初めてという。
能登半島地震では避難所でトイレが不足し、衛生状態の悪化が問題化したことを受け、市が導入を決めた。大規模災害時には、道路の寸断や土砂災害などにより避難生活の長期化が予想される。八女市では2012年の九州北部豪雨で、道路や橋の崩壊によって山間部が一時孤立状態になったこともある。
導入したトレーラーは、個室4室に水洗の洋式トイレを備える。水洗や手荒い用の水を給水するタンク(容量454リットル)と、汚水タンク(同757リットル)があり、汚水タンクは1200~1500回利用できるという。
屋根にソーラーパネルを設置し、照明や換気扇の電力を賄える。自走式と違って浸水しても損傷が少なく、動力系の部品がないため故障も少ないという。約1950万円(7割は地方交付税措置)で購入し、4月に納車された。
市防災安全課の担当者は「平時にはイベントや防災訓練で活用し、災害時には避難所の衛生環境の改善につなげたい」と話している。