あの銘菓のミニチュアが写真集に 作家・みすみともこさんにインタビュー

普通に感じることを表現

――作品をつくる上で、自分なりのルールはありますか。

 知っているお菓子でも、自分で食べることです。「食べるときのふとした感動」を一番に伝えたいと思いますね。例えば、紙袋を受け取ったときの喜びや、包装紙を開くときのワクワク感、冷蔵庫から出したときのアイスクリームの霜や溶け具合です。当たりくじを期待しながらアイスを食べ進めたのに、「はずれ」の印字を見たときの小さな悲しみも。暮らしの中で、普通に感じることをそのまま表現できたらと思っています。



――完璧に再現された小さな世界の中に、人が介している温度やリアリティを感じます。そこが共感を生むのかもしれません。

 見た人が楽しめるものを作れたらいいなと思います。作品をサイトやSNSで公開したときに、思わず「ひとこと言わせて!」とコメントを残したくなるような。



――SNSが普及しているのも20年前と違った状況ですね。

 Instagramなどで発信すると、今はすぐに反応があります。「地元のお菓子を見て、今年は帰省しようと思いました」「会社の人からもらって嬉しかったことを思い出しました」など、みなさんがそれぞれの思い出を添えて反応を返してくれるんです。寄せられるコメントがそのまま作品づくりのモチベーションにつながっていますね。



本の発売記念イベントを開催

――これから作ってみたいものはありますか。

 具体的にはないんですが、私なりのデザインをして「ありそうでない、なさそうである」ような世界を作れたらいいなと思います。最近、クロネコ印のミニチュアお菓子をいくつか作ったのですが、見た人が「あら!隣の三毛猫さんにも教えてあげなくちゃ!」とコメントをしてくれました。作品を通して、さらにコミュニケーションが生まれたら嬉しいですね。



――12月7日には本の発売記念イベントが開かれますね。

 本に登場するミニチュアもたくさん展示するので、実物を見て楽しんでもらえたら。当日は100名に鳩サブレ―のミニチュアをプレゼントしようと思います。包装しているパッケージのギザギザは、カッターで一つひとつ加工したんですよ。



 写真集「日本一小さな手土産の世界 みすみともこの手土産ミニチュアコレクション」(KADOKAWA)は定価1600円(税別)です。記念イベントは、12月7日(土)の13時から福岡市中央区の「TSUTAYA天神ショッパーズ福岡」で開かれます。


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