みやま市の魅力を新発見 体験プログラム「つきなみ旅」が好評

「つきなみ旅」のロゴと、これまでのチラシの一部 (みやまブランディング推進委員会提供)

 福岡県みやま市や商工会などでつくる「みやまブランディング推進委員会」は、長い歴史に培われた祭りなどの文化や豊かな農漁業といった魅力を発信する体験プログラム「つきなみ旅」を毎月開催している。地元住民の参加も多く、同委員会は「住民にはプログラムを通じてまちづくりへの参画意欲を高め、市外の人にはみやまの新たな楽しみ方を広めていきたい」としている。

歴史や文化を楽しみながら

 7月19日に開かれた第10回つきなみ旅「江浦町祇園祭を解説付きで楽しもう!」には、市内や佐賀県唐津市の男女ら約10人が参加。江戸時代から続く無病息災を祈願する夏祭りで、大蛇を模した巨大な山車「大蛇山」が煙を吐きながら練り歩く様子や街並みを見学した。

 解説を務めたのは、地元の老舗「マルヱ醤油(しょうゆ)」の永江隆志社長(60)。「江浦の人たちは祭りを大切に継続してきた。うちの息子は盆には帰省しないが、祇園祭には帰ってくる」と笑わせた。


解説を聞きながら、つきなみ旅を楽しんだ


 参加料は1500円。立ち寄った神社では、地元のミカンを使ったスイーツや酢を薄めたドリンクを味わいながら休憩した。参加者には土産としてマルヱ醤油の商品も配られた。


 前回のプログラムに続いて参加した柳川市の北島千津子さん(66)は「解説も楽しかった。こうした地元の歴史を学びながら楽しめるのがうれしい。柳川でも企画してほしい」と喜んでいた。

まちづくりへの参画も期待

 同委員会は2023年、古代から続くみやま市の歴史を学び、観光振興と地域活性化につなげる方針を定めた。「食」「文化」「歴史」「風土」を生かし、月のリズム(月波)を感じることができ、「月並みではない」体験をしてもらおうと、2024年10月に「つきなみ旅」を始めた。

 料金は2000~3000円が中心。参加者全員にしっかり情報を伝え、体験を楽しんでもらうため定員は10~20人ほどにしている。

 活動は、地域活性化につながっている。創業145年を超える「玉水酒造」の酒蔵見学体験は、土壌改良材「竹パウダー」で育てた酒米を使った製造工程や発酵の魅力を伝える内容で、数日で定員に達した。また、地元のわらを使った正月のしめ飾りづくり体験では、製作を指導するために参加した店舗が、今後は自ら企画・開催することに前向きな姿勢を示す。


酒蔵見学体験のチラシ (みやまブランディング推進委員会提供)


 さらに11月に行われる大名行列を模した伝統行事「どんきゃんきゃん」(県指定無形民俗文化財)では、祭りの参加体験を企画。人口減少が進む地方では、祭りの人員確保が課題になっており、伝統継承の担い手不足解消ももくろむ。


 同市商工観光課の中島舞子係長は「解説は地元で活躍している人に頼んでいる。行政や業者が主導するのではなく、モデルケースを示し、『自分たちでもやれる』という機運を高めたい」と強調。今後については「つきなみ旅の素材はまだまだ多い。回数を重ねることで、みやまには自慢できることがたくさんあることを市民にも実感してほしい」と期待している。

 問い合わせは、みやま市商工観光課(0944-64-1523)へ。


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