天守閣に直行! 北九州市が小倉城に屋外エレベーター整備へ

小倉城に新設される屋外エレベーターのイメージ図 (北九州市提供)

 北九州市は、小倉北区の小倉城で天守閣につながる屋外エレベーターを設置する。2024年度は約30万人が訪れた人気観光地のバリアフリー化を進め、フォトスポットとしての魅力を損なわないよう景観にも配慮する。市議会で整備費約3億円を盛り込んだ一般会計補正予算案が10月7日に可決されており、年明け以降に着工して26年度中に完成する予定だ。

バリアフリーと景観を両立

 天守閣内には戦国武将の衣装を着て記念撮影できるコーナーやカフェがあり、観光客でにぎわっている。ただ、現在、石垣の上に立つ天守閣1階に行くには、入り口近くで階段を上る必要がある。電動式の階段昇降機は設置されているが、重度障害者が乗り移るのは危険なことなどから天守閣に行くのを諦めたケースもあったという。

 市は20年度から屋外エレベーターの設置を検討。設計段階で建築デザインや色彩などの専門家に意見を求める「市景観アドバイザー制度」を活用した。観光客が城を撮影する際にエレベーターが写り込まないようにした方がいいとの助言を受け、天守閣南側の1階とエレベーターを長さ約27メートルの連絡橋で結ぶ設計にする。色についても、城の石垣や瓦に近い灰色を基調とする。

連絡橋からの眺めも魅力に


多くの観光客が訪れる小倉城天守閣。屋外エレベーターは右側に設置され、1階部分と連絡橋で結ばれる

 市身体障害者福祉協会の担当者は「エレベーターができて車いす利用者が一人で小倉城に行けるようになれば、外出先の選択肢が広がる」と歓迎する。また、市観光課では、高さ約9メートルの連絡橋からの眺めが観光地としての新たな魅力になると期待している。

 小倉城は、1600年代初頭に完成。江戸時代の1837年に火災で焼失し、1959年に鉄筋コンクリート造りで再建された。文化財には指定されておらず、天守閣内部には1階から最上階の5階まで運行するエレベーターが設置されている。市中心部にあり、周辺では年間を通じて多くのイベントが行われている。


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