「手作り体験」 意外なものまでDIY!苦労した思い出も宝物に


記事 INDEX

  • ラグも思い通りに!
  • 既製品にない満足感
  • 自分に似合う眼鏡も

 身近なグッズを手作りする体験が人気を集めている。意外なものや難しいものほど、自分で手がける喜びもひとしお。苦労した思い出も含めて、大切な宝物になりそうだ。

ラグも思い通りに!

 部屋に敷く小さなラグはインテリアのアクセントになるが、好みに合うものはなかなか見つからない。そこで最近注目されているのがラグを手作りできる織物技法「タフティング」。福岡市中央区には専門店「KuMo tufting studio(クモタフティングスタジオ)」が2022年11月にオープンした。


「KuMo tufting studio」の店内


 布に好きな絵柄を描き、専用の道具「タフティングガン」で下書きをなぞるように太い糸を打ち込んでいく。一見簡単そうだが、打ち込む角度やリズムが仕上がりの美しさや手触りに影響する。縦横各55センチのサイズ内なら円形や花、ハートの形など自由に作れ、1枚3~4時間で完成する。


八谷さん夫妻が作成したデザイン

夫婦で制作したラグ


 2月中旬に来店した福岡市の八谷涼さん(29)と妻の朋美さん(26)は、熊と女の子が抱き合う絵柄のラグを制作した。朋美さんが自分たちに似せて描いたオリジナルイラストで、「既製品より愛着がわく」とうれしそうだ。


 月50人程度が来店し、「もつ鍋」「愛犬」「ピザ」など個性あふれるラグを創作。裏などの仕上げは店で行い、完成品は後日届く。2万4500円など。ディレクターの青山雄嗣さん(26)は「ゼロからラグを作り上げる楽しさを知ってほしい」と話す。


もつ鍋をモチーフにしたものも

毛足が長く、触り心地も良い


advertisement

既製品にない満足感


 もの作り体験の人気は、旅行やコンサートなど「そこでしかできない体験」を重視する傾向と共に高まっている。消費行動に詳しい日本大商学部の堀田治准教授によると、密を避けて楽しめるためコロナ禍でさらに注目され、SNSに「こんなものを作った」と投稿しようと、より複雑なものや意外なものへニーズが広がっている。

 堀田准教授は「もの作りは、普段使わない感覚や思考が刺激されて非日常感を味わえる。既製品では得られない満足感も人気の理由では」と分析する。

 宮崎県都城市の「KONG SURF(コングサーフ)」では、サーフボードを手作りできる。木の板を挟んだ2~4メートルのウレタンをのこぎりで好みの大きさに切り、電動かんなで表面を削ってやすりで角を整える。好きな色を塗り、表面にコーティングをして完成。最短でも5日はかかり、近くに宿泊して取り組む人もいるという。12万円から。


客が制作したサーフボード

 オーナーの金子孝一郎さん(62)は「シェイパー」と呼ばれるサーフボード職人。宮崎はサーフィンが盛んだがシェイパーは少なく、作る楽しさを広めようと2022年に始めた。金子さんは「ボードの構造を知ることで、技術向上にも役立ちます」と語る。

自分に似合う眼鏡も

 眼鏡も自分で作れる。福岡市中央区の「めがね舎ストライク BASEMAN 福岡」は月2回、ワークショップを開いている。


ワークショップで制作された眼鏡のフレーム

 厚さ1センチ程度のプラスチック板を糸のこで切り出し、やすりで角を削る。色や柄は20~30種類、形のデザインは50種類あり、スタッフと相談しながら自分に似合うものを選べる。体験は3時間程度で、耳にかける部分をつけるなどの作業は職人に任せる。系列店を含め計約300人が体験したという。


フレームを切り出し、形を整えていく

 体験はフレーム代込みで2万7500円(レンズ代別)で、完成まで1~2か月。代表の比嘉大輔さん(41)は「手作りなので左右差が出ることもあるが、それも味わいです」とほほえむ。

 気になる情報やテーマをメールでお寄せください。


advertisement

この記事をシェアする