「ふくつ古墳馬車」で春の新原・奴山古墳群をパッカポッコ旅

菜の花の中を進む馬車(提供:ホースプラン)

記事 INDEX

  • 馬車に揺られ古代人の目線に
  • オーロくんはなぜ福津へ?
  • 3月21日まで「ふくつの古墳まつり」

 2017年7月にユネスコ世界遺産に登録された福岡県福津市の新原・奴山(しんばる・ぬやま)古墳群。とはいえ、大小の山ぼこが連なる風景を車内や展望所から眺めるだけでは、「どこがどうすごいのか、ピンとこない」という声も。そこで、県内唯一の観光馬車に揺られながら、古墳の見どころを教えてもらいました。


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馬車に揺られ古代人の目線に

 ゆるやかな坂道、軽快に馬車を引いてきたのは「オーロくん」。体長約4メートル、体重はサラブレッドの2倍! 馬形埴輪のようなどっしり体形に圧倒されていると、「大丈夫、気は優しくて力持ちだから顔を触ってあげて」と、観光馬車を運営するホースプラン代表・増田美佐子さんが声をかけてくれました。


オーロくんと、ホースプラン代表の増⽥さん

 ごあいさつ代わりにそっと触れると、鼻はもっちりした感触で、鼻息の温かさにびっくり。触っているうちに親近感が湧いてきます。


⾄近距離で⾒るとクルンと渦巻きひげ

圧巻のポニーテール!


 「『オーロ』はスペイン語で『金』、タテガミの色です」という増田さんの言葉に相づちを打つように「ヒヒヒーン!」とひと鳴きして、旅はスタート。舗道では歯切れよいリズムを刻み、土の上ではザッコザッコと素朴な足音に変化するのが楽しい。


 車よりも目線が高く、春の風に交じる草や土の匂いを感じながら馬の歩みに身を任せました。「古代の人もこの海を眺めていたのかも」と想像が広がります。


円墳の表面は葺石(子どもの頭大の石)で覆われている(25号墳)

 「国道495号の辺りまでは、かつて入り海でした。古代豪族の宗像氏が地形をいかして、海から見えるところに大きな前方後円墳を築いたのです。航海技術に長け、沖ノ島祭祀(さいし)をつかさどる一族の権威を大陸から来る船に示した宣伝のようなものですね」

 「ふくつ観光ボランティアガイド」も務める増田さんの解説に、地形を意識しながら古墳を観察する面白さに気づきました。


古墳群を紹介する福津市のリーフレット。馬車はオレンジのコースを基本にめぐる


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オーロくんはなぜ福津へ?

 馬車はコース半ば、22号墳の手前で折り返します。「ここから馬の話をしましょう」と増田さん。オーロくんは北海道帯広市の「ばんえい競馬」で優勝歴もある競走馬でした。おとなしい性格のため早く引退し、長崎県のハウステンボスで馬車を引いていたそう。2011年に縁あって、増田さんが勤めていた乗馬クラブへ。3年前に独立した増田さんは古墳周辺の農地を借り、「ふくつ古墳馬車」を始めました。


Uターンもお⼿のもの

 日本には馬車をつくるメーカーがないので、ドイツでオーダーメイド。福津市が購入し、観光用に貸し出しています。「馬は自重と同じくらいのものを引く力があって、それを1馬力といいます。大人が12 人まで乗れる馬車をつくりました、さてオーロくんの体重は何百キロでしょう?」。こんな具合に、増田さんから次々と"馬クイズ"が出題されます。


抵抗が少なく引きやすい"馬目線"で選んだ車輪

馬蹄はサラブレッドのもの(右)と比べてこの大きさ!


 実は、福津市は馬との深い縁があるそう。「この古墳群からは、馬との暮らしがあったことを伝える馬具などの遺物が出土しています。明治の終わり頃から昭和14年までは、津屋崎馬車鉄道(通称・馬鉄)が福間〜津屋崎間を走っていました。軍馬の育成場や競馬場もあったんですよ」。馬が人のパートナーとして、ともに暮らしてきた歴史のある地だからこそ、観光馬車を走らせたいと増田さんは語ります。


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3月21日まで「ふくつの古墳まつり」

 この春は特別な見どころも。昨年末に野焼きをしたため、築かれた当時の古墳のフォルムが分かりやすくなっています。3月21日(日)までは「ふくつの古墳まつり」が行われ、イベントも盛りだくさん。人気が高い前方後円墳(30号墳)などを市文化財課職員が解説する「現地説明会」は、歴史ファンにとって貴重な機会です。


発掘調査中の30号墳。約1500年前に盛られた土が見える

第5回ふくつの古墳まつり
3月1日(月)〜21日(日)
※3月20日(土・祝)は古墳まつり馬車が半額 ①11:00②12:00(先着各10名)、新原・奴山古墳群 現地説明会 ①10:00②13:00(1時間程度)を無料開催
※新型コロナウイルスの感染状況や天候により、中止・変更の場合あり

 「古墳群は宗像氏が存在したことの証し。彼らの信仰や暮らしを敬い、当たり前の風景として守りたいと地域の人たちが受け継いできたからこそ、古墳の状態が良好に保たれてきました。集落の人たちが"塚の風にあたると病気になる"といううわさをあえて流し、盗掘から守ったという言い伝えもあるんですよ。こうした心こそ、世界遺産だと思います」と増田さん。春は市民が植えた菜の花が古墳群を彩ります。


のんびり楽しむ馬車の旅(提供:ホースプラン)

 「馬に親しむ時間は、子どもも年配の方も笑顔にしてくれます。2世代で乗りに来てくれるリピーターも多いですよ」。この春は、古墳と馬を知る旅に出かけませんか。


好天の日は大島が望める(提供:福津市)



名称 ふくつ古墳馬車
乗り場 古墳展望所(福津市奴山616、昭和学園前)
運行日時 土曜・日曜 10時、11時、13時、14時、15時(所要約40分)※平日は貸切運行
(いずれも定員大人10人で、要予約)
料金 大人(中学生以上)2000円/子ども1000円(乳児は無料)
※貸切運行は1組1万5000円
電話 0940-51-1292
公式サイト ふくつ古墳馬車 ホースプラン

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