水に関わる様々な活動を表彰する「第25回日本水大賞」(日本水大賞委員会、国土交通省主催、読売新聞社など後援)で、30年以上にわたって水道事業の国際協力を続けている北九州市上下水道局が、最高賞の大賞を受賞した。東南アジアなどに職員を派遣するなどし、各地の水質改善や水道普及に貢献した点が評価された。武内和久市長は4月6日の定例記者会見で「非常に名誉なことだ」と喜んだ。
「プノンペンの奇跡」も
市上下水道局は、1990年に国際協力機構(JICA)の要請で西アフリカ・マリ共和国に職員を派遣したのを手始めに、東南アジアや南米など計13か国に計約210人を派遣。配水管の敷設方法や漏水の見つけ方、浄水場の維持管理のノウハウの指導などを行ってきた。
特にカンボジアの首都プノンペンでは99~2006年、水道に関する技術を現地の職員に伝える人材育成プロジェクトに協力。短期間で水道普及率や水質の大幅な向上に貢献し、世界の水道関係者から「プノンペンの奇跡」と呼ばれるようになった。
このほか、世界156か国・地域から計約6700人を受け入れ、水道関連技術の研修も進めてきた。
自治体受賞は3例目
日本水大賞は1998年に創設され、今回は全国の自治体や企業、学校などから計96件の応募があった。自治体の大賞受賞は、東京都小金井市、熊本市に続いて3例目という。
武内市長は記者会見で「海外事業に尽力してきた先輩方のたゆまぬ努力、積み重ねてきた技術、経験が実を結んだ。今後も継続的な技術協力を行い、水の分野で国際貢献していく」と述べた。