2月11日に是枝監督が来館 営業再開の「小倉昭和館」

 北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場一帯の大規模火災で焼失し、跡地に再建された老舗映画館「小倉昭和館」で著名人らによるイベントが次々と開かれている。昨年12月の営業再開から1か月余り。2月11日には是枝裕和監督のトークショーや最新作の上映が予定されており、館主の樋口智巳さんは「多くの映画人らに応援いただいてありがたい。被災前よりも満足してもらえるよう頑張りたい」と話している。


著名人らの色紙の前で、是枝監督作品の特別上映をPRする樋口さん

 樋口さんは、是枝監督の「万引き家族」に出演した市出身の俳優リリー・フランキーさんを通じて監督と交流。2022年8月の大規模火災で被災後、「支援できることがあれば」と申し出を受け、新館のシートの1席には他の著名人らとともに是枝監督の名前も刺しゅうされた。

 来県予定が入った是枝監督側から1月下旬、「お祝いにうかがいたい」と連絡があり、樋口さんがトークショーを依頼。是枝監督は初来館となるという。

 11日にはカンヌ国際映画祭で坂元裕二さんが脚本賞を受賞した是枝監督の最新作「怪物」を1日3回上映し、1回目の後に是枝監督が約30分間トーク。2回目は舞台あいさつで登壇し、3回目は上映のみとなる。

著名人らも後押し

 他の著名人らも再建後の活動を後押しする。2月5日には、市ゆかりの作家町田そのこさん原作で、市内でも一部ロケが行われた映画「52ヘルツのクジラたち」の試写会が開かれ、町田さんと成島出監督、武内和久市長がトークショー。撮影に協力した市民ら約70人が参加した。


試写会で記念撮影に応じる町田さん(中央)や成島監督(左)ら

 映画は杉咲花さんや志尊淳さんらが出演し、共に虐待を受けた経験のある女性と少年を巡る物語。成島監督は「声なき声を発する人に寄り添いたいとの思いで制作した」と振り返り、町田さんは「(小説が)どう生まれ変わるんだろうと楽しみだった」と話した。

 1月には市出身のシンガー・ソングライターChageさんもライブを行い、樋口さんは「また公演したい」と声をかけられたという。樋口さんは「各地の映画館が閉館する中、被災しながらも立ち上がった映画館を応援いただき、感謝している。お客様にも一緒に喜んでもらいたい」と語る。

 「怪物」の料金は1500円。前売り券を販売中で、1回目の上映と是枝監督のトークショーは完売した。問い合わせは同館(093-600-2923)へ。


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