那の津通りの先に沈む太陽 一直線の夕日がビル街を黄金色に

ビルの間から差し込む夕日

 福岡市中央区、夕暮れ時の那の津通り――。東西に延びる道路に、ビルの隙間に沈みゆく太陽の光が一直線に差し込み、街を黄金色に染め上げる。春と晩夏の限られた期間、わずかな時間にだけ現れる"天体ショー"だ。

カメラを手に瞬間を待つ

 8月のおわり、自転車でこの道を走ったとき、正面に立つビルの上に太陽があるのに気づいた。日没の時刻と太陽の道筋を調べれば、ビルの隙間から夕日を拝める時季があるのでは――。そんな予感に導かれ、望遠レンズを携えて再訪した。


年に数日間だけ、奥のビルの隙間に太陽が沈む様子が見られる


 だが、思い通りにはいかない。シャッターチャンスの直前に厚い雲に阻まれたり、軌道の読みが甘かったり。通うこと6日間、ようやく9月6日に、その瞬間に立ち会うことができた。2キロ以上離れたビルの隙間から姿を現した太陽は、わずかな間をおいて再びビルの陰へ沈んでいった。


夕日が街をオレンジ色に照らす


つかの間の"奇跡"の情景


 カメラを握る手に汗がにじむ。家路を急ぐ人の中には足を止め、つかの間の"奇跡"をじっと見つめる姿もあった。


沈む太陽が、道行く人の肩を黄金色に染める


 思い出されるのは1年前、JR博多駅前で目にした光景だ。ビルの谷間から強烈なオレンジ色の光が差し込み、まるで巨大な観音扉が開かれたように太陽が顔を出した。


JR博多駅前のビルの間に差し込む夕日(2024年9月撮影)


 那の津通り、そして博多駅前。天候に恵まれれば、次は4月上旬、都心のビル街と太陽が織りなす"夕暮れの情景"に出会えそうだ。


撮影を雲に阻まれることも多かった



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