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厳かな雰囲気が漂う中で、大きく深呼吸をすると心の中まで澄み渡る気がした。
福岡県苅田町に位置する青龍窟(国指定天然記念物)は、日本有数のカルスト台地・平尾台の中でも最大級の鍾乳洞の一つだ。
「洞口ホール」と呼ばれる長さ130メートルの洞窟に入ると、かつて修験道の修行の場だったとされる窟(いわや)神社の境内があった。
その奥は真っ暗で、しゃがみながら目をこらして進んだ。足音が響き、世界に自分だけが取り残されたような気がする。
洞窟内の高低差は35メートル。反対側の入り口を目指して、ゴツゴツとした岩をつかみながら上っていった。ふと汗ばむ顔をあげると、差し込む光と空の青の深さに目を奪われた。
(写真:大野博昭)