福岡県飯塚市に2022年度に寄せられたふるさと納税寄付額が90億円を超え、全国の自治体で8番目に多かった。23年度も順調に寄付が集まっている。ただ、10月以降は返礼品などにかかる経費を寄付額の5割以下に抑えることが求められる。人気返礼品を中心に寄付額の“値上げ”は避けられず、寄付が集中する年末に向けた推移に関係者は気をもむ。
新ルール「経費5割以下」に対応へ
総務省の発表によると、22年度の飯塚市への寄付額は90億8600万円(受け入れ件数は78万190件)と21年度比で約25億円増加。県内の自治体でみると3年連続で最も多くなり、全国でも2ランクアップの8位となった。
寄付額が大幅に増えた要因について、市は「ふるさと納税制度が広く浸透し、全国的に寄付額が増えた」背景があるとしたうえで、「関東地方を中心に進めたPR活動を、関西や中部地方の都市圏にも広げたことが奏功した」と分析する。
そんな中、総務省は今年10月から適用する経費ルールの見直しを6月に発表した。具体的には寄付金受領証の発行・郵送費や、ワンストップ特例制度などに付随する事務経費を含め、寄付額の5割以下とする。
飯塚市の22年度寄付総額に対する経費率は49.77%だったが、新ルールで換算すると65.66%まで膨らむ。
「鉄板焼ハンバーグ」個数は維持、増額を検討
また、同市は1万~3万円の少額寄付が多く、寄付総額が近い他の自治体と比べ、受け入れ件数は2.3~4.7倍となっている。このため、寄付金受領証の発行・郵送費が重くのしかかる。
さらに、寄付総額の55.2%を占める一番人気の「鉄板焼ハンバーグ デミソース20個」はクール便を利用するため、経費圧縮は容易でない。
市は10月以降、返礼品は従来のままで寄付額をアップさせ、経費を5割以下に抑える方針だ。鉄板焼ハンバーグについては、ファミリー層に好評な「20個入り」は維持し、寄付額を5000円増の1万5000円にする方向で検討しているという。
市特産品振興・ふるさと応援課の今林直久課長は「寄付者は寄付額と返礼品の内容に機敏に反応するため、実質的な値上げにどういう反応があるのか見極めが必要だ。10月以降の推移を見ながら臨機応変に対応し、好調さを持続させたい」と話している。