北九州市小倉北区の北九州芸術劇場で10月、「Re:北九州の記憶~未来へつなぐ物語『石炭の走る街』」と題した演劇が上演される。街に暮らす高齢者の記憶に焦点をあて、演劇を通じ、次世代を担う若者へ伝えようという同劇場の取り組みの一環で、初日の公演には市内の高校生を招待する。
物語は、筑豊―北九州間で石炭を運ぶ列車からの眺めを通し、野球場や駅、戦時中の防空壕(ごう)などを巡るエピソードを展開していく。同劇場の取り組みでは、2012年度からの10年間で、地元の劇作家らが、高齢者たちへの聞き取りをもとに89作品の戯曲を執筆しており、今回の演劇はそれらを再構成した。
公演の脚本・構成・演出を手がけるのは、北九州市を拠点に活動する「劇団 集合チキューン」代表で、19年度から同劇場の取り組みに参加する劇作家の山口大器さん(29)。山口さんは「高齢者の記憶がいっぱい詰まっている北九州の風景が、今につながっているところを幅広い世代に見てもらいたい」と意欲を語る。
舞台の稽古は始まっており、同劇場の稽古場では9月5日、地元劇団に所属する出演者らが集まって、場面ごとに演技を確かめ合っていた。
10月17、18日午後2時、同劇場中劇場で開演。料金は3000円で、65歳以上と枚数限定の13~19歳は1500円。未就学児は入場できない。問い合わせは、北九州芸術劇場(093-562-2655)へ。
advertisement