伝統の「流鏑馬」継承へクラファン 香春町の保存会が初挑戦!

協力を呼びかける「鎮西鶴岡流鏑馬保存会」のメンバー
記事 INDEX
- 800年超の歴史
- 地域で受け継ぐ
- 「特等席」も用意
地域の高齢化によって継承が難しくなってきた鶴岡八幡神社(福岡県香春町)の伝統行事「流鏑馬(やぶさめ)」を次代につなげようと、地元の住民団体「鎮西鶴岡流鏑馬保存会」が、初めてのクラウドファンディングに挑んでいます。10月に開催する行事の観覧席などを返礼品として用意。「地域の伝統をつないでいくために、支援の輪を広げてもらえたらありがたい」と、9月15日まで支援を呼びかけています。
800年超の歴史
同神社は、平安時代末期の1153年創建と伝えられます。神社によると、流鏑馬は当初から行われてきましたが、戦後に中断。しかし、2000年の「850年祭」を機に、約半世紀を経て復活したそうです。
秋の例大祭に合わせて披露され、数百人を集める人気行事でしたが、コロナ禍のため2020~22年は中止に。23年には再開したものの、24年は当時の「鶴岡八幡神社流鏑馬保存会」の中心メンバーの高齢化などにより、開催が見送られたそうです。
地域で受け継ぐ
25年5月に保存会会長の“バトン”を受け継いだ牧有(まき・たもつ)さんは、同級生らにも協力を募って、仲間を増やしていきました。同月に会の名称も改め、新体制で再スタートを切りました。
新たに「鎮西鶴岡流鏑馬保存会」としたのは、「『神社』だけでなく『地域』の行事として多くの住民で受け継ぎ、次代に残したい」との思いからです。
会員は20~80歳代の約30人となり、以前の3倍近くに増加。仕事終わりや休日に集まって準備を進めています。ベテラン会員の助言を受けつつ、「持続可能な行事にしたい」と、効率的な会場の運営方法なども話し合っています。
「特等席」も用意
馬や射手に来てもらうための運営費には、例年通り、地域からの寄付を充てる予定です。ただ、傷んだ衣装の更新や馬場の整備などにかかる費用が課題で、今回、クラウドファンディングに取り組むことにしました。将来的な射手の育成などにも活用したいと考えています。
会員たちでアイデアを出し合い、返礼品には、手ぬぐいやキーホルダーのほか、カメラマン席なども準備。地元で作られている酒まんじゅう、はちみつなどもそろえており、広報担当の井上圭三さんは「せっかくなので、協力いただいている地域の業者の産品も知ってもらえたらうれしい」と話します。
今年の例大祭は10月4、5日に開かれ、流鏑馬は5日14時頃から奉納される予定です。
牧会長は「タイムスリップしたような感覚が味わえる、古式ゆかしい行事。一緒に盛り上げて次の世代につなぐために、できる形で参加してもらいたい」と呼びかけています。