幻の戦闘機「震電」の姿を伝える史料 大刀洗平和記念館で公開

寄贈された図面の複製
太平洋戦争末期に福岡で開発・製造され、「幻の戦闘機」と呼ばれた海軍の局地戦闘機「震電(しんでん)」の図面や8ミリフィルムなどの史料が、戦後80年の今年、福岡県の筑前町立大刀洗平和記念館に寄贈された。終戦時に軍の命令で多くの史料が焼却されており、同館では「幻ではなく、現実の戦闘機であることが見て取れる生きた一次資料」と高く評価している。
図面やフィルム 久留米の企業が寄贈
震電は米爆撃機B29などを迎撃する目的で、現在のJR南福岡駅周辺にあった九州飛行機で造られた。1945年8月に3度の試験飛行が行われたが、実戦に投入されることなく終戦になった。
同館によると、寄贈されたのは、複数の図面の原本や海軍からの計画要求書類、飛行試験の記録など。8ミリフィルムには、震電の機体や、設計した鶴野正敬技術少佐、神事の様子などが映っていることから、同年7月に席田飛行場(現福岡空港)で行われた滑走試験の模様とみられるという。
日本風洞製作所(本社・福岡県久留米市)の静岡県沼津市にある施設に、古物商が史料一式を持ち込んだ。航空機に興味があり、特に震電が好きという同社のローン・ジョシュア社長が「散逸させず、一括して存在することに価値がある」と判断し、同社で購入。今年5月に同館に寄贈した。
震電を巡っては、終戦時に海軍の命令で6000枚以上の図面や完成前の機体などが焼却処分され、1号機は米軍に引き渡された。今回の史料は処分を免れ、保管されていたものと推測されるという。
12月14日まで企画展で紹介
同館では、日米で大ヒットした映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」の撮影のために製作された実物大模型を展示。寄贈された史料や8ミリフィルムの映像は、企画展「九州飛行機と震電―技術者たちの記録―」で12月14日まで公開する。