みやま市でAIタクシー本格運行へ 10月から3度目の実証

 福岡県みやま市は10月から、人工知能(AI)を活用し、複数の乗客の希望をまとめ、効率よく運行する予約制乗り合いタクシーの3度目の実証運行を行う。過去2回の実証運行は目標の2倍の利用があり、利用者の9割が運行継続を希望していることから、実証期間終了後の2026年3月以降、本格運行に移行する予定。同市は「今回の実証運行から、市外の人も利用できるように変更する。住民の生活支援だけでなく、観光振興などにもつなげたい」としている。

利用者の9割が継続希望

 同市では、コミュニティーバス6台で8路線を運行。ただ、本数が少ないうえ、住宅が点在する郊外は、最寄りのバス停から数百メートル離れており、こうしたエリアには高齢者も暮らしている。このため、市は2024年10月に国の補助を受け、自宅と目的地を直結するタクシー3台を使った実証運行を始めた。運賃は5キロ未満が中学生以上300円(小学生100円)、5キロ以上は500円(同300円)に設定した。


実証運行で使用するタクシー(みやま市提供)

 実証運行は24年10、11月月に高田・山川地区と瀬高地区に分けて実施。25年2月には高田・山川地区で再度実施した。利用時間の1時間前までに、専用アプリで申し込むか、電話で予約すれば、数分後に到着時間を知らせる。複数の予約があれば、AIが効率的に予約客を乗せるルートを検索する。

 同市総合政策課は、1か月あたりの利用者目標を100人、計300人に設定したが、実際にはこの2倍となる計約600人が乗車。年代別では、70歳以上が8割を占めた。1人での利用は約7割で、3割が複数での乗り合いだった。

 利用者アンケートによると、「自宅前から目的地に直接行けるので助かる」「外出する機会が増えた」「家族に迷惑をかけず出かけられる」「待ち時間がなく、子ども2人を連れていても安心して利用できた」――といった感想が寄せられた。「利用して満足」「事業を続けてほしい」との回答はそれぞれ9割前後に上った。

「生活支援や観光振興に」

 10月からの実証運行は、「居住地を問わないこと」以外は、前回までと同じ内容で行う。すでに約480人がアプリを登録しており、月間300人の利用をめざす。

 同市は高齢化が進み、生活支援のための公共交通のあり方を模索してきたが、タクシーを活用した方法が最善と判断。本格運行では、バスについては、国道を走る2路線を残し、乗り合いタクシーとの2本立てに整理する。事業費はバス6台での運行費用とほぼ同額の4900万円になる見込み。

 総合政策課の担当者は「乗り合いタクシーが継続されるなら、運転免許証を返納してもいいといった声も聞く。今回の取り組みによる波及効果を期待している」と話している。問い合わせは同課(0944-64-1550)へ。


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