北九州市が新興企業を後押し 投資ファンドに1億円を出資

2025.09.10

 北九州市は、新興企業の成長や創出を後押しするため、投資ファンドに1億円を出資した。ファンドを管理運営するのは公募で選ばれた「ナインキャピタル合同会社」(小倉北区)で、同社が1億円の投資先の選考を進めており、市は定期的に意見交換しながら成果をチェックする。


投資ファンドを通じた新興企業支援の取り組みを紹介する武内市長(右)と竹山代表

 計画では、同社が市の出資金を含めて少なくとも10億円の資金を調達し、30~50社に投資する。投資の対象は市内に本社を置く企業のほか、高齢化など市の課題に取り組んだり、市内の事業所と連携したりする企業となる。

 市は2020年度から国の「スタートアップ・エコシステム拠点都市」に選ばれ、市と共同事業体を組む大学や団体に新興企業支援として国の補助金などが出ている。2期目となる25年度からの5年間では、時価評価額10億ドル(約1470億円)以上の企業を2社創出することなどを目標に掲げる。

用途は自社裁量

 これまで市の主な支援策は補助金だった。しかし、年度ごとの交付のため継続性が薄く、用途が限定されるとの課題もあったため、投資ファンドを通じた支援策を導入した。企業がファンドから資金調達すれば自社の裁量で必要な事業に充てられ、ナインキャピタル合同会社から経営に関する助言が受けられる利点もある。

 同社の竹山将志代表は、ソフトバンクグループや政府系ファンドでの勤務経験がある。数年前からは、北九州市で若手起業家の事業成長を支えるなどしてきた。7月に行われたファンドの発表記者会見では、「北九州市にはものづくりや環境産業などの強みがある。産業と課題を掛け合わせ、新興企業が生まれれば雇用創出にもつながる」と展望を語った。

 武内和久市長は「世界につながる企業を目利きしてもらい、補助金ではできない支援の形を一緒に作りたい」と話している。


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